首相、続いた国会軽視 26年度予算成立 重要法案控え禍根残す 「集中審議」極端に少なく

首相、続いた国会軽視 26年度予算成立 重要法案控え禍根残す 「集中審議」極端に少なく
高市早苗首相は政権発足後初の当初予算となる2026年度予算の成立にこぎつけた。25年度内の成立に固執し、衆院では「数の力」で強引に審議日程を短縮したが、少数与党の参院では野党などの「壁」に阻まれ、実現は4月第2週にずれこんだ。一般会計が過去最大規模に膨らみながら、衆参両院での総審議時間は25年度予算の7割程度。衆院選圧勝を背景にした首相の国会軽視とも言える姿勢は、重要法案審議が控える後半国会に向けて禍根を残した。
「年度内成立ができなかったことは残念だが、国会審議に誠実に対応した結果、国民生活に支障が生じるリスクをできる限り小さくできた」。首相は7日の予算成立後、官邸で記者団にこう答え、自賛した。
だが、審議時間を見ると「誠実」とは言い難い。1月に自身が衆院解散に踏み切ったことで開始が遅れたにもかかわらず、衆院では通常1カ月程度かかる審議を15日に半減させ、野党の反対を押し切り採決を強行。審議時間は00年以降最短の59時間にとどまった。
■野党改めて批判
中道改革連合の階猛幹事長は7日、記者団に「いかに数の力で、政府・与党が国会の審議をないがしろにしているかということがわかった」と改めて批判した。
一方、参院では衆院の7~8割が慣例とされる審議時間が、野党が当初求めた60時間に迫る59時間となった。首相に対する不満もある参院自民党の歩み寄りもあり、衆院と同じ時間まで積み上がった。「熟議の府」である参院の存在感を一定程度示した形だ。
ただ、首相が出席する「集中審議」は参院でも極端に少なかった。合計時間は9時間42分。石破茂政権だった昨年の39時間24分の4分の1にとどまった。今回の衆院審議に比べても1時間余り少なかった。首相は5日、X(旧ツイッター)で、国会出席を拒んでいるとの報道があるとした上で「全く事実ではない」と強く否定した。
■身内からも苦言
これに対し、自民三役経験者は「首相が『集中審議に出るくらいなら(11日を過ぎての)自然成立でいい』と言っていた」と明かす。自民重鎮も「国民の代表が集まる国会で、首相が答弁に立つのは民主主義の根幹だ。わがままが過ぎる」と苦言を呈す。
内閣支持率は好調を維持し、政府・与党内では表立って首相を批判する動きは見られない。首相は「選挙で民意は示された」と繰り返し自民幹部に年度内成立を迫った。
特別国会は7月17日まで。今後は、政府のインテリジェンス(情報活動)機能強化に向けた「国家情報会議」設置法案や、日本国旗を傷つける行為を罰するため与党が提出を目指す「日本国国章損壊罪」の創設法案などの行方が焦点となる。憲法改正や衆院議員の定数削減も含め、与野党対決になる可能性がある審議が待ち受ける。
ただ、「数の力」が通用する場面は限られる。国家情報会議設置法案を審議する参院内閣委は、委員長を除くと野党が11人で、与党の10人を上回っており、野党の協力がなければ可決に持ち込むのは難しい状況だ。
自民ベテランは首相の強気な姿勢を危ぶむ。「世論も含め表立って批判しづらい空気がつくられている。このままだと政権の方向性をただしてくれる人が誰もいなくなる」
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